2019年 公立高校中期入試前夜
今年もついに「この日」を迎えました。公立の前期入試の本格導入以来、公立の中期選抜に挑むのは、中3生の半数にも満たない11名のみという時代になっても、古くからの塾人である私にとって3月初旬の「この日」は、やはり特別な思いに浸ってしまう。
まだ学生講師だった頃、落ち着かなくて朝一番に教室に行くと、同じ非常勤の立場だったT先生も来ていて、ちょうどそのタイミングで階下から「せんせー!!いってきまーす!!」と複数の元気な集団の声を見送った事、また、中学校毎に受験会場となる高校が決まっていた時代は、当時の塾に所属していた中学の会場が塔南高校1択だったので現地まで応援に行くと、緊張と寒さで震える生徒達が集まってきて、私の着ていたロングコートの持てるところを全員が持ち、まるで結婚式場の花嫁のような状態で開門を待っていた事など、この中期こそが本番だったあの頃の高まりというか、熱気というか、そんなイメージが今でも色濃く残っている。
ただ時代が変わっても、「全てを伝えきれたのだろうか」「この塾で本当に良かったのだろうか」「私が気になるポイントと言った類いのものが、明日本当に出てくれるのだろうか」「ちゃんとミス無く、やることはやったという形で終えてくれるだろうか」など様々な思いが交錯するのも変わらない。
昨日の月曜が理科の最終授業だったのだが、自作のオリジナルテキストの中から、最後にもう一押ししたい単元の該当ページだけを選び、寄せ集めたため、それこそイオンのとなりに光、天体の次のページが電流という、ページ番号も章も寄せ集めのバラバラという何とも不格好なテキストを作成してしまう有様で、私自身も今年は不安で仕方なかったのかもしれない。
「今日の授業を受けたことで何とか当日の1点につながれば」という素人考えそのままに、あれやこれやと詰め込みすぎのテキスト。授業でふと我に返り、用語などのチェック、気をつけるポイントを話すに留め、何とか最終回に相応しい授業に戻すことが出来たという・・・
ただ生徒達はしっかりしています。前日となる今日もきちんとやってきて、最後の調整。各自が工夫しています。
理科の用語集に蛍光ペンでビッシリと線を引き、それだけでなく自分の字でたくさんの書き込みもしている生徒。用語の横に正の字が書かれていたので、「これは?」と尋ねると「問題解いてて、気になる語句があったら調べて、調べる度に正の字書いているねん」
「へー、偉いね。先生も中学の時、英語の辞書でそれしてたなぁ。辞書で7回引いたら単語覚えられるという先生の言葉が本当かどうか確かめたくて」と私。
「だーかーら、先生のその話を聞いて真似してるんやんか!!」とちょっと怒ったように返す生徒。
「ごめん」と謝りながら、こういうちょっとした事が浸透しているというのは、本当に嬉しい。
他にも付箋でチェックを積み重ねている生徒。不要になったものを外し、残ったものだけを前日に見る作戦のようです。これは素晴らしい!
「受験前日に何したらいい?とかいう奴はダメ。勉強をしっかりとしてきた生徒は、前日にするべきものが自然と浮かぶか、用意できているもの」という言葉を実践している生徒達。本当に成長を感じます。
やはり、入試は2月じゃなく3月が良くないですか??成長した後ろ姿、ちょっぴり不安を口にする生徒もいましたが、1人また1人と帰宅していきました。もう、自習室が中3で埋まることはありません。
さて、新聞報道では公立不人気だの1倍を割っただの書かれていましたが、当塾の生徒が受験する主な公立の倍率がこちら。決してウチのエリアだけは不人気とは言えません。1倍を割ったのはあくまで平均値の話であり、平均値は真実を何も語らないという典型。
定員の90%は優先されるけれど、残り10%は第2順位で希望している生徒との争いになる。それが倍率0.92倍なのに不合格者が出る理由。そして、倍率0.92倍でも定員が満たされる理由でもある。なので、一部のトップ校をのぞき定員の90%での倍率が実質倍率になるので、敢えてそちらで計算している。(今年は倍率1倍、つまり全員合格確定という学科が過半数・・・)
まあ、私学人気が本当だったのか、公立は不人気はほんと?などといった今年の入試分析については、ブログか保護者会でお話する機会があるかと思いますが、いずれにしても、そういった分析や情報伝達よりも、入試までの道のりをどう過ごしてもらえるのか、入試を通じて成長できたのかどうか、そちらの方が数倍大事なことだと思っています。
その上で合格となれば本当に言うことはありません。明日の午後、どんな顔をして塾に来てくれるのか。そこに今年1年の答えがあります。
それを楽しみに明日の6日は朝9時半から開室します。入試のため、公立高校がお休みかつ定期テスト中ですので、答えは1つです。国公立大の合格発表も明日6日ですし・・・
入試にテストに色々と重なる3月。何とか今年もこの日まで駆け抜けることが出来ました。改めて、今年も素晴らしい生徒に囲まれることができたこと、支えていただいた事、皆様に感謝申し上げます。(やべぇ、新年度の準備なんも進んでねー(^^;))
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